あなたは128,826km(本日11km ⁄ 昨日10km)を走破したライダーです!

Australia - オーストラリア縦横断オートバイ旅行記 1988


第14章 再び北へ(58日目〜61日目)

58日目

アリススプリングスを出発し、スチュアートハイウェイを北へ向かう。巨大なロードトレインが時速100km近いスピードでハイウェイを走っている。三両連結のトレーラーで、そのタイヤの数は60個以上、全長はなんと50mにもなる。前部には牛の衝突にも耐えられそうな極太のカンガルーバーが取り付けてある。恐ろしいほどの迫力だ。その長さのため追い越すのも結構大変で時間がかかる。ここから北は鉄道というものがない。物資の輸送はこのロードトレインで行っているのである。

道路の両側には蟻塚が地面からにょきにょきと生えている。異様な光景だ。アリススプリングスよりも南側にはなかったのだが、町から少し北へ走っただけで急にそれは現れ始めた。高さは1m程で円錐形をしている。褐色の土で造られ、素手で触れてみるとけっこう硬い。住人である蟻は全く見えないが、内部にはいっぱい蠢いているのであろう。それを想像するとぞっとする。

きょうは南回帰線を越えた。これでまた一歩赤道に近づく。気のせいか、昼間の太陽の位置が妙に高いように感じる。ロードハウスのキャンプエリアにテントを張るが、町を離れるとやはり心細いものだ。

(7,729km / Caravan Park, Wauchope / September 1, 1988)

59日目

辺りには直径5mほどもある岩石がごろごろしている。しかも、不思議なことにどれもきれいな球状をしている。ここはデビルズマーブルと呼ばれる場所だ。この一帯には地質の関係で立方体状の岩が数多く形成されたそうだ。そして、風雨がそれぞれの角を少しずつ削り、今のような丸い岩を形作っていったのだという。ここまでなるのに気の遠くなるような長い年月がかかっているに違いない。自然の力を感じさせる。

Elliottというロードハウスでテントを張った。しかしこの暑さには参る。夜になっても気温が全然下がらない。この辺りはまだ乾期のはずだが、雨も降り出した。明日の天気が心配だ。

(8,108km / Caravan Park, Elliott / September 2, 1988)

60日目

朝になっても雨が止まない。北へ行けば晴れていることを予想し、雨の中を出発した。1時間も走ると、予想どおりこちらでは雨は降っていなかった。途中、虹を見ることが出来た。

しかし、この暑さ。まともではない。いつの間にか、周囲はジャングルになっている。空には翼長が50cmもあるコウモリが飛び回る。気味が悪い。蟻塚も北へ来るほどに大きさを増し、今では人の背丈ほどになった。やはり、赤道に少しずつ近づいていっているだけのことはある。

マタランカ自然公園に着いた。ここのキャンプエリアでテントを張ることにする。ここはジャングルの中に温泉が湧き出し、観光の名所ともなっている。観光客も多い。湧き出した温泉は川となり、天然の露天風呂をつくっている。日本でもよくあるジャングル風呂のようなものだ。しかしこれは正真正銘の本物である。川底は砂と岩で、水深は背が立たないほどの所もあった。周りのジャングルには蛇も多いようだ。もう1ヶ月ぐらいシャワーしか浴びていない。久しぶりに肩まで湯に浸かることが出来た。

(8,426km / Mataranka Homestead Camp area, Mataranka / September 3, 1988)

61日目

オートバイは快調に走る。しかし、この異常な暑さではこっちの身体がもたない。Cutta Cutta Cave(クタクタ鍾乳洞)という標識を見つけたので、寄っていくことにした。普通なら鍾乳洞の中は涼しいものだ。少しは楽になるかもしれない。

行ってみると、管理用の小屋が建っていた。そこで料金を払うと、女性のガイドが一緒について来て解説をしてくれた。だが入ってみて失望した。全然涼しくはない。外の気温が高過ぎるためだろうか。

きょうはKatherine(キャサリン)峡谷国立公園のキャンプグラウンドで泊まることにした。峡谷を流れるキャサリン川にはワニが生息する。ただし危険はあまりなく、ここではカヌーに乗ることもできるという。明日は川まで行ってみようと思う。すぐ近くだ。

暑さのためか食欲がない。夜になっても気温は30度位までにしか下がらない。湿度も高く、耐えがたい蒸し暑さだ。それに毒蜘蛛やサソリがいるらしいので、テントの出入口は閉じている。中はまるでサウナのようだ。じっとしていても汗が噴き出してくる。とても眠れたものではない。

どうしようもない暑さに耐えていると、テントの外から微かな物音が聞こえてきた。不審に思い、出入口をそっと開けて外を覗いてみる。驚いたことにテントの周りはカンガルーでいっぱいだ。少し小さいので多分ワラビーだと思われる。闇の中、何十匹という数が、地面に生えた草を食べている。聞こえていたのは、彼らが草を地面からちぎり取る音だったのだ。中には二匹でじゃれ合っているものもいて、これがちょうどボクシングをしているように見える。よく話に聞くカンガルーのボクシングは本当だったのだ。

(8,582km / Katherine Gorge Caravan Park, Katherine / September 4, 1988)


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