あなたは166,003km(本日3km ⁄ 昨日6km)を走破したライダーです!

Australia - オーストラリア縦横断オートバイ旅行記 1988


第4章 オートバイで再出発(23日目〜24日目)

オートバイで2度目の出発
オートバイで2度目の出発

23日目

ずいぶん長い間滞在したCBプライベートホテルの前から、日本人N氏に見送られてオートバイで出発した。オートバイの旅が始まった。エンジンも軽やかに回り、走りは快調だ。

シドニーを出て、まずは海岸線に沿ってプリンセスハイウェイを南へ1,000kmほどのメルボルンを目指す。最初は自転車で計画していたルートだ。のんびりと1週間くらいで行くつもりだが、それでも自転車より数段早いだろう。メルボルンからは、そのまま海岸沿いをアデレードへと北上し、そこからは大陸の中央部を北上しダーウィンへ向かうつもりだ。それだけでも4,000kmも先の話であるから、もともと細かいところまで決めてはいなかったが、そのほうが旅は面白いと今ではさらに自信をもって言える。

プリンセスハイウェイを走る。自転車のときには遠いと感じたヒースコートの町も、あっという間に通りすぎてしまう。オーストラリア人のR氏にお世話になり、ケイビングにも連れていってもらった思い出の町だ。しかし、オートバイは移動が早い分だけ、残念ながら道中は確実に薄まってしまうと感じた。

Surfside Caravan Park
Surfside Caravan Park

シドニーから数時間ほど走ったところで、海沿いのカイアマという小さな町にキャラバンパークを見つけ、今日はここでテント泊をすることにした。キャラバンパークというのは、日本でいうオートキャンプ場である。ここでは車でキャラバンカーを牽引して旅をする旅行者が一般的である。これのための広いサイトスペースと、共同のトイレ、シャワー、ランドリーまでそろっていて、自分のようなオートバイと小さなテント持ち込みだけであれば一泊5Aドルで泊まることができる。そして野宿よりも安全ということが何よりも助かるので、このキャラバンパークがある限りは、できるだけ利用していくつもりだ。

ペリカンの飛ぶ海
ペリカンの飛ぶ海

海辺に広がる芝生のサイトにダンロップの2人用テントを張る。テントのサイズというのは1人用といえば本当に1人が横になるスペースしかないため、テントの中に荷物を置くこともできないのが普通である。このため、ソロツーリングではこの2人用を具合よく愛用している。

海上を数羽のペリカンが飛んでいる。初めて見る野生のペリカンはおどろくほど巨大で迫力があり、そのシルエットはまるで古代の翼竜が滑空しているように見える。とはいっても、翼竜を見たことは一度もないのだが……。

(Surfside Caravan Park, Kiama / July 28, 1988)

24日目

オートバイで走り始めて二日目、荷物が多すぎることに気づいた。しばらくこのハイウェイは舗装路だからいいが、これだけの重量を積んでこの先ダート路を走ることは不可能と思われる。少しでも重量を減らさなければだめだ。無くても済むものは不要と判断し、捨てて切り詰めていくことにした。

素晴らしい海岸線に沿って南下する
素晴らしい海岸線に沿って南下する

今の季節は冬だが、東京ほど寒くはない。まずは防寒着として持ってきたフリースのジャケットを捨てた。これは登山で冬の北アルプスや八ヶ岳でも愛用したものだが、軽量化のために涙をのむ。それから、下着は交互に洗濯しながら着ることにし、二組だけ残してあとはバッサリと捨てた。これも冬山へ持っていった防滴のラジオであるが、ここでは使いそうもない割には重量があるため捨てた。生きるために。そんなふうに自分に言い聞かせた。 ベイトマンズベイのキャラバンパークでテント泊をする。

(Coach House Tourist Van Park, Batemans Bay / July 29, 1988)


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