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第6章メルボルン
−The Diary 1988 in Australia−

33日目 August 7
 それまでの青空が、急に曇り始め土砂降りの雨に変わり、指先の感覚がなくなるほどに寒くなる。そうかと思うと再び空は晴れ、寒さもやわらぐ。この3日間は、こんな天気の繰り返しだ。オーストラリアの南端までやってきたのだし、季節は冬。寒いのは当然かもしれない。しかしそれに雨が加わり、状況は悲惨だ。こんな天気の中、メルボルンに到着した。ビルが建ち並び、多くの人々が忙しそうに歩いている。シドニー以来、久しぶりに見る大都市だ。
 どうしても屋根のあるところで泊まりたい。しかし、どのホテルも満室だった。市内を探し回って80kmも走ったが、それでも見つからない。いや、正確には安いホテルがなかったと言ったほうがいいだろう。60ドルも出せば部屋はあったが、それは贅沢すぎた。
 しかたなく、今日もキャラバンパークにする。地図によると市内から北へ10kmほどのところにあるはずだ。今日は疲れた。
(2485km,Melbourne Caravan Park,Melbourne)

34日目 August 8
 ショップでオートバイのハンドルに取り付けるナックルガードを注文した。DR250S用の純正の物だ。プラスチック製で、ハンドルを握る手の甲の部分をカバーしてくれるため、少しは寒さを防いでくれるはずだ。在庫はないが、明日には入荷するという。それを待つため、ここでもう一泊することにした。
 天気は相変わらずよくない。ただ、少しずつ晴れてる時間の方が長くなってきているような気がしないでもない。とりあえず明日の天気に期待するしかないだろう。夜になってアラレが降ってきたのには驚いた。
(2542km,Melbourne Caravan Park,Melbourne)

35日目 August 9
 ショップへ行くが、注文しておいたナックルガードがまだ入荷していない。あと1週間はかかりそうだと言う。それまではちょっと待てそうもない。これがなければ走れないという訳でもないので、注文はキャンセルすることにした。
 出発するにはもう時間も遅い。今日は街をのんびりと散歩してみることにした。雨もほとんど降らず、レインウェアも必要なかった。あと一泊してからメルボルンを出発しよう。
 ここメルボルンから約3000km、オーストラリア大陸のほぼ中央部にアリススプリングスという町がある。このアリススプリングスをスタート地とし、大陸を縦断するウインズサファリラリーが今月の20日頃から開催される。4輪と2輪が走り、世界的に有名なドライバーなども出るという。シドニー滞在中に、二人の日本人と、アリススプリングスでこのラリーのスタートの日に再会しようという約束を交わしていた。一人はこのラリーに2輪で出場するという香川氏、そしてもう一人はツーリングの野村氏だ。あと3000kmある。その日までに間に合うだろうか。明日はここを出発しよう。北へ向かって。
(2607km,Melbourne Caravan Park,Melbourne)


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