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第10章エアーズロック・前編
−The Diary 1988 in Australia−

48日目 August 22
 ラリーのスタートも終わり、アリススプリングスの町はいつものように静かになった。昨日までの賑やかさとの落差を、やけに寂しく感じる。
 エアーズロックに向けて出発しようと思っていたのだが、どうも天気がよくならない。2、3日前から雨が降ったり止んだりしている。一度が降り出すと、道路が水没してしまうほどの強い雨となる。無理をせず、天気の回復を待ってから出発することにしよう。急ぐ理由はないのだから。
(5721km,Stuart Caravan Park,Alice Springs)

49日目 August 23
 天気が回復し、ここユララまで一気に来た。
 エアーズロック観光の拠点ユララは、ホテルやレストランなどが完備されたリゾート地だ。エアーズロックの環境と美観を保つため、17km手前のこの小さな町に観光客を宿泊させるのである。そのうえ、全ての建築物は周囲の砂漠の砂の色と同化するような赤っぽい褐色に統一されている。これも自然への配慮だという。
 エアーズロック周辺は国立公園のため、キャンプも禁止となっている。仕方がないので、ユララに用意されたキャンプグラウンドにテントを張ることにした。
 ここからはエアーズロックを眺めることができる。異様なほどの存在感の岩山だ。そしてもう一つ、マウントオルガと呼ばれる岩山を見ることができる。この山も奇妙な形をしていて興味深い。どちらへも行ってみよう。そして、この二つの岩山のほかに見えるものは何もない。
 シドニーとアリススプリングスで会った山下氏と、偶然にもこのキャンプグラウンドで一緒になった。これで3度目である。不思議なものだ。
(6173km,Ayers Rock Campground,Yulara)


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